ルーク 【小説等一場面練習スレ】 突発的に浮かんだ構想をとりあえず形として残しておくスレ 1/17^14:54[編集] サPC [レスをする] [最新順][古い順] ルーク 彼女は話は終わりだとばかりに剣を抜いた。 元より歓談するためにここまで来たわけじゃない。それでもこうして言葉を交わしてしまったのは、きっと未練故なのだろう。 当時の面影すら見受けられない今の彼女と、こうして昔話をすることができただけでも幸運だったと思うべきだ。 心残りはある。少しでも気を抜けば、体が彼女と戦うことを拒んでしまいそうになる。それでも、戦わなければ。 今ではもう名すら思い出せない「」との約束を、果たすために。 相対する彼女は、俺が剣を抜くのを待っている。 情けや温情ではないことくらいわかっている。いかに性質が変わっていても、彼女の本質とも言える誇り高い姿勢は何ら変わっていないのだ。無論、此方が一歩でも動いた瞬間に飛び込んでくるのだろうが。 一度剣を交えれば、どちらかが倒れ伏すまで剣戟は続く。 生粋の剣士である彼女相手に剣術一つで挑むのは自殺行為だ。 魔核は残り6個。増援は元より、戦闘支援を行える面子はもういない。 例えここで彼女を斬り伏せたとしても、相手方はまだ後が控えている。魔核は最低でも2個は残しておきたい。 恐らく、彼女の技量を越えて剣戟を浴びせるには4個では足りない。この身に残るなけなしの魔力を使わなければ、届かない。 次に魔力を行使すれば、「」のこと自体思い出せなくなるかもしれない。 ―――それでも。 それどころか、何とか繋ぎ止めている自身の存在すら消し飛ぶ可能性がある。 ―――――それでも。 まだ鮮明に保てている「」との約束すら、思い出せなくなるかもしれない。 ―――――――それでも、ここで引き返すことだけはできない。 「来たれ、天の双羽」 双掌に握る魔核を砕き、二振りの十束剣を製造する。この二振りだけは絶対に使うことになると確信して準備をしてきた。 彼女はすぐさま向かってくる。今まさにこの首を落とさんと駆けてくる。悠長に構えている余裕などない。 ―――急げ。 基盤精製とスキル付与を同時実行。 「―――凍結解除、高速鍛錬」 予め完成状態で脳裏に仕込んでおいた魔術を行使。刀身の製造に取り掛かる。 彼女が既に剣を振り上げている。間合いは残り一足、後一足で彼女の間合いだ。 此方はまだ満足に武器を手にしてすらいない。 もっと、もっと早く、正確に。 ―――高速鍛錬、連続投射。 「・・・ッ」 ビキッ。 魔力行使による工程加速の負荷で視神経自体が破れる様な感覚に襲われる。 怯んでいる暇はない。まだ工程が残っている。 連続投射での事象飽和も、この手に宿る炉心であれば崩壊の要因にはなりえない。 彼女が間合いに踏み込んだ。最早人の身でない彼女による必殺の一振りが迫る。 製造は自体は間に合う。しかし、彼女の剣を受け止めるに足る強度が無ければ何の意味もない。 ―――折り返し、折り返し。 集中。体感時間を極限まで落とし込む程の集中を。 ―――折り返し、折り返し、折り返し。 足りないなら掻き集めろ。届かないなら振り絞れ。 ―――折り返し、折り返し、折り返し、折り返し。 ここで負けることは、絶対に合ってはならないのだから―――!! まだ形を成していない二刀を振るう。 迫りくる必殺を、受け止めた。 握る感覚はなくとも、衝撃が伝わる。全身を走るその威力だけで、かすり傷すら許されないことがわかる。 「相変わらずあなたは寸前で事を成すんですね。このまま終わってくれないかと少し期待したのですが」 表情の動かない彼女の一言。外見や在り方が大きく変わってしまっていても、記憶だけは変わらず残っていることが返って心に刺さる。 「武器を手に取るまで無防備なことを知ってるお前らしい初手だったよ。だからこそ下準備もしてこれたんだから」 「そうですか。どれだけ変わろうと、結局お互い本質は変わらないのですね」 この声をもっと聞いていたいと思ってしまう。彼女の言う通り、本質はあの時のままだ。当時の別れは仕方なかったと割り切ったつもりでいたが、やはり未練は残っていた。 だが、それでも俺は進まなければいけない。 「確かに本質は変わらない。でも目指すものが変わっちまった」 彼女と共に歩く道は、もう無い。 彼女は少し寂しそうに顔を伏せたが、上げた時には戦士のそれに変わっていた。 「最早後顧の憂いはありません。救いたい、守りたいものがあるのでしょう。全力で来なさい。でなければ、ここで道を閉ざすことになりますよ、『』」 彼女の身に魔力が宿った。 「言われるまでもないさ」 ここからが、正念場だ。 1/17^16:39[編集] サPC <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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